遺言
遺言を作成するタイミングはいつがよいのか
1 遺言はある程度お早めに一度作成することをお勧めします
遺言を作成するタイミングは、ある程度財産の内容やご家族の構成が安定してきたら、お早めに一度作成してみると良いと考えられます。
見出しで「ある程度お早めに」と申し上げました理由は、ライフステージの変化が大きい年齢で遺言を作っても、相続が開始するのは数十年後になる可能性があり、その時点では家族構成や財産の状況が大きく変わってしまう可能性が高いためです。
そのため、大きなご病気にかかられているなど、特別なご事情がない限りは、あまり早いタイミングで遺言を作成することもお勧めしません。
逆に、あまりにご高齢になってから遺言を作成しようとしても、認知症などが進行してしまうと、遺言を作成する能力を失ってしまう可能性があります。
また、遺言を作成された時点で相当ご高齢であると、仮に遺言能力を失っていなかったとしても、後になって遺言能力を争う訴訟を提起される可能性もあります。
そこで、ある程度の年齢に達し、財産の内容やご親族の構成が大きくは変化しないであろうと考えられる時期に一旦遺言を作成し、定期的に見直すという方法をお勧めします。
以下、実務での遺言作成の流れについて具体的に説明します。
2 実務での遺言作成の流れ
実務で多く用いられる遺言には、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。
自筆証書遺言は低コストかつご自身で手軽に作れます。
そこで、まずは一旦自筆証書遺言を作成してみることをお勧めします。
作成するタイミングは、一般的なサラリーマンの方であれば、60歳前後で定年退職をしたときなどが考えられます。
このタイミングで、ご自身の財産の整理なども兼ねて、一度自筆証書遺言を作成してみるとよいです。
もしその後、大きく財産内容が変化する出来事があった場合には、一旦遺言の内容を見直します。
60~70歳の方は、親がお亡くなりになり、相続財産を取得することも多い年齢層ですので、親の財産が多い場合には、財産の内容が大きく変わる可能性があります。
そして、遺言を作成しなおすタイミングで、公正証書遺言を作成するという流れにすると、相続が発生した際にも安心できます。